a k a t s u k i
「編入試験、ほぼ満点だったらしいぜ」

「すげぇ、頭良いんだろうな」

「そんな進学校にいたんなら、わざわざこんな学校に来ることないのに」

「確か噂の転校生って、あの席なんでしょ?頭が良いだけじゃ勤まらないわよ」

「そうよね。それに何も転校生じゃなくても私達の中から選ぶことは考えなかったのかしら?」

始業式の間に、3年8組の転校生の話はあっという間に広まってしまっていた。

チラチラとみんなが視線を投げてくる。

気付かないふりをしながら、俺は至って静かに立っていた。



…あの席にいったい何があるというのか。

生徒達がこんなに騒ぐくらいなのだから、何か特別な意味があるのだろう。

“あの席になった以上、常に自分は狙われてると思っておいた方がいい”

さっきのケイの言葉を思い出す。

そこまであの席はこの学校において重要なポジションなのか。

考えても考えても埒が明かないのはわかっているが、どうしても納得のいく答えにたどり着きたい、と思ってしまうのは人間の性である。


< 14 / 27 >

この作品をシェア

pagetop