a k a t s u k i
声が聞こえた方を振り返ると、そこには長身の女が1人立っていた。

背にまである流れるような長い黒髪に、丸みのある輪郭、薄くも厚くもない形のいい唇は包容力を感じさせ、切れ長の目は知性の高さと意思の強さを物語っていた。

次元が違う美貌だ。

この人に比べると、市井の女など色褪せて見える。



「私がここのトップだ」

「あんたが…?」

俺は訝しげに女を見た。

彼女がいるだけで空気が張りつめたような気がした。

「ところでサヤマ。お前、こんなところで何してる」

「…トップが選んだ人間はどれほどのものか、それを見たかったんですよ。それにしてもこんなひ弱そうなのを選ぶとは、シンドウさん。まったく冗談がお好きですね」

シンドウと呼ばれる女がほんの一瞬視線を向けただけで、男、いや、サヤマは押し黙った。

「この男を選んだのにはちゃんと理由がある。だがお前に言う必要は無い」

「……ですが、」

「それとよく覚えておけ。私は、自分の実力以上に出しゃばってくる人間が大嫌いだ」

「……」

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