a k a t s u k i
「ホウジョウ イツキ、だったな。ついてこい。話をしよう」

肩を叩かれた。

彼女がさっさと歩き始めたので俺は慌ててあとを追った。





『クワトロ』は、駅と学校のちょうど中間にある、クラシックな雰囲気の喫茶店だった。

吹き抜けになっている1階ホールの中央にはグランドピアノが置いてあり、誰でも自由に演奏できるようになっていた。

階段を登り中2階に上がった。

照明が薄暗く抑えられている。

テーブルの間を縫うように歩いていく。

1階ホールを見下ろせる端の席にはすでに先客がいた。

「あ!」

俺は驚きの声を上げた。

そこには見知らぬ女と一緒にケイが座っていたからだ。

< 20 / 27 >

この作品をシェア

pagetop