a k a t s u k i
またしてもこの空間を沈黙が支配した。

やがてその沈黙を破ったのはツバキの笑い声だった。

「私達に向かってそうズケズケものを言うなんて、確かになかなかいない逸材だわ」

「なんだよ。言うほど偉いのかよ、お前ら」

「ふふん、あんたよりは偉いわよ」

「くっ…」

薄々勘付いてはいたが、いちいち癪にさわる女だな、こいつは。

「そうだな、まず君への説明が先だ。とりあえず自己紹介からしよう。私はシンドウ アカリだ」

「僕はさっきしたからいいよね?」

俺は頷いた。

「私はアサノ ツバキ。よろしく、新入り」

ツバキはいかにも気位が高そうに見えた。

薄い色の髪は耳が隠れるほどの長さで、肩口で切り揃えられていて、形の良さそうな額の下には鋭い視線を発する瞳が鎮座している。

性格はともかく顔だけ見れば間違いなく美人の部類に入る。

< 23 / 27 >

この作品をシェア

pagetop