a k a t s u k i
俺はティーカップを手に取り、コーヒーを喉へ流し込む。

燃えるような熱い塊が胃の奥へ伝わって行く。

「てことは、俺はあの学校の4強になったってことか」

「そういうこと。あの座を狙ってる奴は多いからね。実力未知数のあんたにやすやすと盗られて不愉快極まりないはずよ」

「いや、盗ってねぇし。お前らが勝手に決めたんだろ」

「アカリよ、あんたの席決めたのは」

顔をしかめて、俺はアカリを見た。

「何で俺にしたんだよ。別に空席でも他の奴でも良かったんじゃねぇか?」

アカリは小さく首を横に振った。

その動きに合わせて、彼女の長い髪がゆらゆらと揺れる。

「――だ」

「え?」

アカリの声がよく聞き取れなかったので、俺は声を上げて聞き返した。

「強いだけじゃ駄目なんだ」

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