a k a t s u k i
「それより、東の奴ら相当な人数従えてくるらしいわよ。早く終わるといいけど」

その口調から、心底面倒くさいというツバキの心境が窺えた。

「まあ仕方ないさ。トップを狙う奴らからすればどんな手を使ってでも僕らを引きずり降ろしたいに決まってる。僕たちの存在は目障りでしかないからね」

「そうだけど…。そんなに目障りかしら、私達って」

「ははは。たぶん目障り中の目障りだろうね。だから人数が多いくらいじゃ、まだ可愛いものだよ」

「確かにね。負けるとわかっていながら戦うようなもんだわ」

それからも2人は仲良く談笑していたが、俺はとてもその輪に入る気分になどなれなかった。

不安や恐怖とは違う、強い感情。

何なのかわからないそれは、音も形も無い波のように遥か彼方からものすごい勢いで俺の中へと打ち寄せてきては支配していった。

まあ、それが何であれ、転校初日から面倒な事に巻き込まれてしまったのだけははっきりとわかる。

俺は小さくため息をついた。

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