a k a t s u k i
校門近くのロータリーには新しいクラスの名簿が貼り出されているのか、すでに大勢の生徒達がガヤガヤと騒いでいた。

溢れる学生服とセーラー服に、俺は圧倒されそうになる。

黒い塊がくっついたり離れたり、1つの意思を持って蠢いているかのようだ。

俺はその場をあとにして玄関へと向かった。





靴を上履きに履き替え、自分の教室に向かって階段を登る途中、誰かがすれ違いざまに小声で囁いた。

「ついに来た」

俺はハッとして振り返ったが、それらしい者は見当たらず、男子生徒達が騒ぎながら階段を降りて行く姿が目に入っただけだった。

確かに声が聞こえた。

ついに来た、それはどういう意味だ?

何が来たっていうんだ?

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