まーくんとみーたん
・・・・・・・。
 
「は?えっと、どこに?109とか?あそこ、男の子一人じゃ入り辛いもんね。」
 
「いやいや、そんなベタな。違うよ。おれと、交際してくれませんかって。」
 
「まーくんが彼女で、あたしが彼氏?」
 
「ん~、そんな予定じゃなかったけど、みーたんかっこいいしそれでもいいかなって。」
 
「いやいや、駄目でしょ。それでもいいかな、じゃないよ。」
 
「じゃあ、なんだったらいいの?どうしたら、みーたん、おれと付き合ってくれる?」
 
「ってか、この突き出された苺は何?」
 
「おれの気持ち。一番大事なの、みーたんにあげる。」
 
お前の一番大事なもの、ケーキの苺かよ。
 
確かに、苺ショートの醍醐味でありますけれども。
 
「ほんとはもっとロマンチックに指輪とか、お花とか用意しようと思ったんだけど、みーたん、そーゆーの嫌いかなって。」
 
伊達に濃い友達付き合いしてなかったね。
 
まーくんはあたしのこと、お見通しってわけか。
 
でも、まーくんはロマンチックなのが好きだから、間を取って、ショートの苺。
 
実にまーくんらしい。
 
「いや、うん、そうだけど。え。本気で言ってる?」
 
「本気じゃなきゃ苺なんてあげないよ。」
 
分かる。
 
まーくんは本気。
 
目がマジだ。
 
普段あまり見せない顔に、不覚にもドキッとする。
 
「いや、まーくん知ってるでしょ?あたしが、男らしいのが好みなの。」
 
「知ってるよ。だから、ほら。おれなりに頑張ったんだ。」
 
そう言って自分の頭を指差すまーくん。
 
昔と違って、随分とさっぱりした頭。
 
多分、あたしが今まで見てきた中で、一番短い。
 
まーくんは自分の髪型を気に入ってて、切る時はいつも少しだったから。
 
見た時、珍しいなって思ったんだ。
 
「ねっ?男らしいでしょ?」
 
って。
 
そんな可愛い笑顔で言われても。
 
あたしは、困ってまーくんから目をそらす。
 
まーくんを男として見たことなかったから。
 
正直、動揺。
 
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