まーくんとみーたん
間が持たなくて、モンブランを口に運ぶ。
 
うつむきがちになる視界に、プルプルと震える足が見えた。
 
さっきの新人のバイトちゃんだ。
 
相当疲れてるのか、さっきよりも更にプルプルしてる。
 
震えた足があたしの横を通るのを見て、この子大丈夫かな、とか思った時だった。
 
「みーたんっ!!」
 
って、珍しくあわてたまーくんの声。
 
その声に反応して、顔を上げると、真っ暗になる視界。
 
それと、熱くなる手の甲。
 
一瞬の間を置いて、痛みが襲ってくる。
 
「あっつっ」
 
体が条件反射で立ち上がる。
 
視界を防いだものが、落ちた。
 
それは、まーくんの膝掛けとなっていたチェックシャツ。
 
熱さに手を振りながら、周りを見渡す。
 
真っ青な顔になって頭を下げてるバイトちゃん。
 
ビックリしてから、すぐに冷めた顔になる周りの客。
 
ひっくり返った、トレー。
 
茶色く染まったあたし達の机。
 
そして、立ち上がった、少し怒った顔のまーくん。
 
「みーたん、大丈夫!?手、かかっちゃった!?ひ、冷やさなきゃ!!」
 
そう言って、周りを見回すと、トイレへと連れてかれる。
 
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