まーくんとみーたん
「ごめん、バイトの先輩に捉まっちゃってさ、なかなか抜け出せなくて・・・」
 
合掌しながらの、上目遣い。
 
憎めない顔。
 
モテモテだから、そのバイトの先輩は女の先輩だろう。
 
まぁ、まーくんは全く気はないんだろうけど。
 
「別にいいけど。で、今日は何の用で呼び出したわけ?」
 
まーくんは、メニューを見ていた顔を勢いよく上げる。
 
「ね、髪切ったんだけど、どう思う?」
 
「・・・まさか、それだけのために?」
 
「うん。みーたん、センスいいから、見てもらおうと思って。」
 
お前は女子かっ!!
 
いや、女子より女子かっ!。
 
この、不安そうに瞳を潤ませている男。
 
あたしの大っ嫌いななよい男に分類される代表選手。
 
でも、前まではホントに女の子のショートカットみたいに長かった髪が、どんな心境の変化があったのか、まーくんの割には凄く短くなって、スッキリしてる。
 
うん、あたしはこっちのが好み。
 
「別に、髪はいいと思うけど、そのチェックシャツの着方、ない。」
 
「え!?なんで!?可愛いじゃん!」
 
「男が可愛さ求めんな。」
 
えぇ~とか言いながら、あからさまに肩を落とす。
 
みーたんが言うなら・・・
 
つぶやきながら、しぶしぶと腰に巻いたチェックシャツを解いてく。
 
取ったチェックシャツを膝に置いて、ひざ掛け代わり。
 
・・・もう何も言うまい。
 
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