まーくんとみーたん
「あんた、大切な話あるって言ってたじゃん。マジで髪見せるためだけじゃないよね?」
 
この男ならマジでやりそうで怖い。
 
「流石に、違うよぉ。ちょっと待って、先にオーダーいい?」
 
「・・・どうぞ。」
 
「みーたんはいいの?」
 
「あたしは、ほら、まだコーヒーあるし。」
 
「そう。」
 
まーくんが、すみませーんて言いながら手を上げると、周りにいた女性従業員が目を光らせる。
 
罪な男め。
 
結局、一番近くにいたバイトの子が、目をキラキラさせながらオーダーを取りに来た。
 
皆の目にあたしは入ってないわけだ。
 
周りから見ると、あたしは全くもって彼女には見えないらしい。
 
まぁ、イケメンと男女ですからね。
 
実のところは、女男と男女なんですけどね。
 
あなたたちが知らないだけで。
 
なんて。

少し悔しくて思ってみたり。
 
まーくんは、自分がイケメンだってことを知らない。
 
だから、女性とお付き合いをする度にさんざん傷ついてきたらしい。
 
一番よく言われるのが
 
〝思ってたのと違う〟
 
まぁ、デート初日に彼氏が手作りケーキ持ってきたら、そりゃそう思うわな。
 
まぁ、そんな経験をたくさんしてきても
 
まーくんはまーくんだから。
 
外見も、中身も変える気はないらしくて。
 
大学で、まーくんは、高校が持ち上がりだったから

まーくんを知ってる持ち上がり組は、男も、女も、若干まーくんをのけ者扱いにする。
 
あたしは、そーゆー道理に合わないの、許せない性質だからね。
 
入学初日にガツンと言ってやったわけだ
 
その持ち上がり組に。
 
そしたらもー今度はあたしが持ち上がり組から、のけ者状態で。
 
でもその代わりに、硬い友情と尊敬を手に入れた。
 
超かっこいい!!
 
って言われながら。
 
まぁ、それがまーくんなんだけど。
 
男にかっこいいって言われてもなぁ。
 
複雑な気分だったけど、まーくんはあたしの嫌いな人種だったけど、
 
まーくんといるのは、あまり嫌いじゃなかった。
 
だから、今もこんな不格好な友情が続いてるわけで。
 
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