偽りの王子達の姫

 口を開かない私にしびれを切らしたのか。

 こっちに近づいてくるその人。


 だんだんと視界が滲んでくる。


 その人は泣きそうな私に気づかずに私の手を握ろうとしてきた。

 
 


 ______その時。


 「咲夜さま!!!その方に触ってはなりません!!」


 血相を変えて屋敷から出てきた執事服の男の叫び声に男の人は手をひっこめた。



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