愛し方もわからずに。


 中学校を卒業し高校へ入った。
 渚と俺と親友は同じ高校へ進んだ。
 そこでも渚へのいじめは続いた。あの転校生が来るまでは。あの転校生が来て渚は変わった。いつもは決して泣かなかった渚が涙を流した。
 ああ、俺は何をしているんだろう? 誰よりも大切な渚を泣かせて。自分のことばかりを考えて。本当にばかだな。
「やっと気がついたか」
 不意に後ろから声がして振り向くとあの転校生がいた。
「なんのことだ」
「素直にならなければ……まあ、時期に判るさ」
 ふ、と唇の端を上げ笑った。
 風がふき、気がつくとあの転校生は何処かへ消えてしまった。

 ーー△ーー△ーー△ーー

 それから数ヶ月。
 渚に彼氏が出来たらしい。いつ告白しようと悩んでいた矢先の出来事だった。相手はなんと俺の親友。
 急いで俺はだめもとで告白をした。渚は困った顔で俺をみた。
「冗談に決まってるだろ? 俺が渚を好きなわけないじゃん」
 そういうしかなかった。そして渚は安心したように微笑んだ。


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