愛し方もわからずに。



 ある日渚が泣きながら俺の下へ来た。どうやら彼氏が浮気をしたという噂を耳にしたらしい。泣きながら事情を話す姿をみてこのまま別れてしまえばいいと密かに願う。
 渚と別れて親友の下へ向かった。
「どうしよう。そんな気は無かったんだ……友だちの家で酒飲んで酔った勢いで女と寝ちまった。渚、きっと許してくれないよな」
 なんだお前ら、ちゃんと両想いなんじゃん。すれ違ってるだけか。
「渚はそんなことで怒ったりなんかしないさ。大丈夫。ちゃんと話し合えば判ってくれる」
 心にも無いことをいう。そんな俺にありがとうといい渚の下へ急いで行った。走っていく親友の後ろ姿をみて胸が苦しくなる。
 知らないうちに涙が頬を伝い地面に後を残す。
「ははっ、情けねぇ……」
 数日後仲直りが出来たと二人から報告があった。
 もう我慢の限界だ。俺は渚を呼び出した。
「どうしたの急に?」
 無邪気に笑う渚の唇を塞いだ。急なことに渚は目を開き驚いていた。少ししてやっと状況を理解した渚が俺を力いっぱい突き飛ばした。



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