雨のち雨そして、ちょっと晴れ
1章

今日も雨

　4月の桜並木を希望に満ちて歩いていた。傘をさしながら。

　ビニール傘には桜の花びらが舞いおり雨と桜が俺の出発を盛大に盛り上げてくれてるのだろう。

　そう、俺はやっとの思いに医学部に入学した。高校時代は何をやっても駄目ばかりで、彼女はおろか、友人も数えるほどしかいなかった。

　でももう心に秘めた思いがあった。

　大学デビューだ。
　そんなことを考えながら駅に着いた。真新しいスーツに若干違和感を覚えながら電車を待っていた。

　周りを見渡しても、俺と同じ様な格好でまだ春の肌寒さに少し体をがたがたさせて立っている新入生らしき人がちらほらいるのがわかった。

　みんなどんな思いで大学生になろうと思ってるんだろうか。俺みたいな考えの奴はいるんだろうか。そんなことを考えながら俺も体をがたがたさせてたのであった。

　彼女が欲しい。

　そりゃ高校生の時に好きな子はいた。だけどいつも遠くで眺めているだけであった。

　クラスの男子が楽しそうに話てるのを見ていると俺も輪に入りたい、ただそう想うだけであった。

　そんな彼女が高校卒業して今どこで何をしてるのかは何も知らない。まあ、当然であるけれど。

　電車が到着し、学校前までの7分間も昔を回想するだけですぎていった。雨脚が徐々に激しくなってることもしらずに。
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