雨のち雨そして、ちょっと晴れ

入学式は非常につまらないものであった。そりゃそうだろう。

 雅章はこんな感情は生れて初めてであった。

 ただ、傘を貸しただけだったが。

 あの子はどんな思いで傘を受け取ったのかな?

 ほんとに困ってただけなのかな?

 俺の事どう思ったんだろうか。

そういや名前もわかんないや。

姿格好は鮮明に覚えている。

黒髪で

ポニーテールで

スカートはちょうど
膝下くらい。

ぱっちり二重の

そして、

小さな顔に似合わない
大きな口。

そうなのだ。雅章は恋をしたのだ。

たまには雨もいいもんだなっと一人講堂の外を眺めていたのであった。

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