偽りの人魚姫
彼女、真面目そうな外見と似合わず、意外と置き勉派なんだ。
「モリノも、教科書?」
そう言って、自分の教科書を持ち上げて見せる。
俺もだよ、的な意味を込めてね。
彼女はコクンと頷いた。
お、初めて会話が成立した。
会話って言っていいのか分からないけど。
イヤホンを耳にしていない彼女と対峙するのは、初めてかもしれない。
めったにないチャンスだから、授業中にもかかわらず、会話を繋げようとしたけど、彼女はもう背を向けていて、話しかけるタイミングを損ねてしまった。
背中を見つめていても、仕方がないので、教室に戻ろうと、ドアへ向かう。
彼女は反対側のドアに向かっていた。
俺、なんか彼女の嫌がることしたかね。
これは、流石にへこむぞ。
「飯島、何やってんだ。」
教室に入ると、先生と目があった。
「さーせん。教科書ロッカーでした。」
おおげさに頭を下げると視界の端に、反対のドアから悠々と教室に入る彼女が映った。
先生は俺をしかってるから、気づいていない。
ついでに生徒達も、怒られてる俺を笑って見てるから、おそらく気づいてない。
そういうことね。
俺は、嫌われたとかじゃなくて、まんまと利用された訳だ。
やるな、彼女。
「モリノも、教科書?」
そう言って、自分の教科書を持ち上げて見せる。
俺もだよ、的な意味を込めてね。
彼女はコクンと頷いた。
お、初めて会話が成立した。
会話って言っていいのか分からないけど。
イヤホンを耳にしていない彼女と対峙するのは、初めてかもしれない。
めったにないチャンスだから、授業中にもかかわらず、会話を繋げようとしたけど、彼女はもう背を向けていて、話しかけるタイミングを損ねてしまった。
背中を見つめていても、仕方がないので、教室に戻ろうと、ドアへ向かう。
彼女は反対側のドアに向かっていた。
俺、なんか彼女の嫌がることしたかね。
これは、流石にへこむぞ。
「飯島、何やってんだ。」
教室に入ると、先生と目があった。
「さーせん。教科書ロッカーでした。」
おおげさに頭を下げると視界の端に、反対のドアから悠々と教室に入る彼女が映った。
先生は俺をしかってるから、気づいていない。
ついでに生徒達も、怒られてる俺を笑って見てるから、おそらく気づいてない。
そういうことね。
俺は、嫌われたとかじゃなくて、まんまと利用された訳だ。
やるな、彼女。