偽りの人魚姫
2.フェイク用おにぎり
彼女とは、地元が一緒だったみたいで。
学校帰り、部活が終わって、腹が減ってたから寄ろうとコンビニに目を向けたら、パンのコーナーで眉をひそめる彼女がいた。
俺は当初の目的通り、おにぎりのコーナーに向かう。
別にやましい事なんかないのに、マフラーを口元まで引き上げて、少し身をかがめる。
他人から見て不自然じゃない程度。
猫背なんですって感じで。
俺の努力が実ってか、彼女は俺に気づくことなくまだパンを見つめてる。
よく見ると、彼女はまたiPodをつけていて。
コンビニにいるのに、そこだけは彼女の世界。
あ、ホットケーキサンドを手に取った。
見つめて数秒。
まだ見つめてる。
彼女の視線でホットケーキサンドに穴が開きそうだ。
・・・あ、棚に戻しちゃった。
またフリダシ。
一方俺は、悩むことなく定番のシャケを持って、身体はおにぎりの棚に向けたまま、パンコーナーをガン見。
隣のおっちゃんがツナマヨ持って、俺をいぶかしげに見てる。
まあ、金髪ピアスの青年がおにぎり持ってパンコーナーガン見だからな。
おっちゃんは悪くない。
でも、なんとなく居心地が悪くなって、持っていたシャケを棚に戻して悩んでるフリをした。
彼女もこんな気持ちなのかしら。
いや、彼女はこんな邪心にまみれながらパンを見つめてるんじゃないだろう。
彼女はただたんに、何のパンを食べようか迷ってる。
俺がコンビニに入ってからずいぶん経つけど、彼女はいまだにパンコーナーから動かない。
学校帰り、部活が終わって、腹が減ってたから寄ろうとコンビニに目を向けたら、パンのコーナーで眉をひそめる彼女がいた。
俺は当初の目的通り、おにぎりのコーナーに向かう。
別にやましい事なんかないのに、マフラーを口元まで引き上げて、少し身をかがめる。
他人から見て不自然じゃない程度。
猫背なんですって感じで。
俺の努力が実ってか、彼女は俺に気づくことなくまだパンを見つめてる。
よく見ると、彼女はまたiPodをつけていて。
コンビニにいるのに、そこだけは彼女の世界。
あ、ホットケーキサンドを手に取った。
見つめて数秒。
まだ見つめてる。
彼女の視線でホットケーキサンドに穴が開きそうだ。
・・・あ、棚に戻しちゃった。
またフリダシ。
一方俺は、悩むことなく定番のシャケを持って、身体はおにぎりの棚に向けたまま、パンコーナーをガン見。
隣のおっちゃんがツナマヨ持って、俺をいぶかしげに見てる。
まあ、金髪ピアスの青年がおにぎり持ってパンコーナーガン見だからな。
おっちゃんは悪くない。
でも、なんとなく居心地が悪くなって、持っていたシャケを棚に戻して悩んでるフリをした。
彼女もこんな気持ちなのかしら。
いや、彼女はこんな邪心にまみれながらパンを見つめてるんじゃないだろう。
彼女はただたんに、何のパンを食べようか迷ってる。
俺がコンビニに入ってからずいぶん経つけど、彼女はいまだにパンコーナーから動かない。