愛、シテあげる。番外編
「こら、真央さん」


「んー?」


「どこ行くんですかそんな格好で」


「……さんぽ?」


「はい戻りましょう」



玄関の扉に手を掛けていた真央さんの腕を引き、リビングに連れていく。


ヨタヨタと歩く彼女は、誰がどう見てもパジャマだと分かるパジャマを着ている。つまりパジャマらしいパッz…………噛んでません。今のはくしゃみが出そうだったんです。


とにかく、僕と真央さんのやり取りから分かるとは思いますが


今真央さんは変です。


もとから少し変わった人ではあるんですが(そこもツボです)、今日はいつにもまして変です。

理由は簡単。


「れーん!喉渇いたぞー」


「はいはい」


お酒を、飲んでしまったからです。


「ほら、真央さん。ソファに座っていてください」


「んー」


ポスン、と真央さんが座るのを確認してからキッチンへ。


何がいいでしょうか……お酒は水をたくさん飲むと、アルコールが早く抜けると聞いたことありますが……。


迷った挙句、無難にレモン水を用意した。

コップに水を注いでいると、真央さんの赤い顔が脳裏に浮かんでくる。
さくらんぼみたいに小さくて赤い唇。少し呂律が回らなくて、普段は全く無いような甘えた口調。上気した頬。熱を持った柔らかい体。

僕はもう……思い出すだけで、体が熱くなってしまいます。


はぁ、どうしましょう。


真央さんが可愛すぎて、それはもう物凄く可愛いくて、気が狂いそうです。


高ぶってきた気持ちを落ち着かせようと息を吐く。


男性恐怖症の真央さんに片想い中の僕は、彼女へのアプローチに日々必死。


ようやく、触れても悲鳴をあげなくなったのに、今暴走して真央さんを傷付けてしまえば元も子もない。


「落ち着け、自分」

そう言い聞かせ、コップを持ってリビングに戻った。


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