愛、シテあげる。番外編
そういえば、朝御飯の片付けをしていなかったような…。


シンクに目をやると、汚れた食器が積んであった。あれ?なんでこんなにあるんでしょうか。おかしいな。

不思議に思いながら食器を洗い始める。ワインのグラスやらナイフやら大皿など………ん?


「あ、」


そうだ忘れてた。昨日は……。



「れーん!」


「わふっ」


腰に来た衝撃で、体が前のめりになった。地味に痛い。


「真央さん。今食器洗ってますから、危ないですよ」


「あはははー」


「もう、離れてくださいよ」


「いやだー」


グリグリと背中に頭を擦り付ける彼女。うわ、なんか変な感じがします。ていうか、腰の辺りに柔らかいものが……!///


「ちょっ、ま、真央さん、ヤバイですって…っうわわ」


「にははは」




人の気持ちも知らず、ぎゅうぎゅうくっついてくる真央さん。
いつもこうやってくっついてきてくれればいいのに……。




仕方なく水を止め、タオルで手を拭いてから、後ろ向きのまま真央さんの腕を掴んだ。



「ほら、離してください」


「うー」


「こら。唸らないの」


「……んー」



力の抜けた腕をやんわりと外す。かなり名残惜しいですが、今はダメです我慢です。色々と危ないので。


僕はゆっくり真央さんに向き合った。

「抱きついて頂けるのは嬉しいですが、今はいけません。リビングで待っててください」


「……やだ」


「真央さん、」


頭を撫でようと手を伸ばすと、不意にその指を握られた。
驚いて真央さんを見ると、泣きそうな顔で俯く。


「……蓮と一緒にいたいもん。やだ」


「!」


な、なな、なんですかこの可愛い小動物は!///
僕はたまらず真央さんの手をぎゅっと握り返し、そのまま抱き締めた。

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