愛、シテあげる。番外編
しかし。

現実はそう甘くないようで。



「蓮?」


涙目のまま、僕を見上げる真央さん。


「どうしたの?」


「あ、真央さん、その……」


ごめんなさい、と再度謝る僕に、そうじゃなくて、と首を振る。

怒るでもなく嫌がるでもなく、普通の、ごく普通の態度だ。


……真央さん、状況分かってなかったんですかね。


良いんだか悪いんだか……というか僕のキスでいっぱいいっぱいになったわけじゃないんですか……少しは危機を感じたとかないんですか。


ホッとしたような落胆したような、複雑な僕の心境も知らずに、彼女は無邪気な声で告げる。



「あのね、なんかね~、




蓮の腰らへん、あっついぞ?」






…………え、熱い……?


それってつまり……。


固まる僕に、追い討ちをかける真央さん。


「なんか硬いと言うか、変だぞ?大丈夫かー?」


「真央さんっ!!さ、触っちゃだめですよ!絶対!」


伸びてきた彼女の手を慌てて押し退け、情けないやら恥ずかしいやらで、今度は僕が真っ赤になる。


「えぇ~、駄目かー?マッサージしてあげるぞー!」


「いっ、いけません!!///」


いや、出来ることならして欲しいですけど!
むしろ将来の夢ですが!←


「とりあえず、その、お手洗いに「だめ」



ひしっ、とお腹に抱きつかれ、思わずビクリと肩を震わせた。


< 23 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop