愛、シテあげる。番外編
「今日は蓮といるんだからな」


真央さんは拗ねているような口調で、お腹にグリグリと頭を押しつける。


「真央さん、ちょっと、離してください……」


「嫌、か?」


「違います!」


嬉しいんですけど、この上なく嬉しいんですけど、この上なくヤバイんですってば!!


というか真央さんも察してほしい。

まさか、本気で分からないとか、はないですよね?からかってるんですよね?


そう思いたくても、冷静な自分が首を振る。

知ってるはずが無いだろう。だって真央さんは、そういう知識がほぼ皆無なんだから。


知らない振りより、無知の方がよっぽど質(たち)が悪い。


「真央さん、その、お手洗いから帰ったらずっと側にいますから」


「だめ」


「すぐ帰ってきます」


「いやだ」


「ハンバーグ作ってあげますから」


「だめったらだめ」


必殺ハンバーグも効かないとは……!

この状況でなければ、なんて幸せだったことだろう。


心底惜しいと思いながら、僕は真央さんの腕を優しく掴み、離そうと試みた。



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