愛、シテあげる。番外編




ごちん。



「ぐ、」


彼女のおでこが、鼻にクリーンヒット。


「~~っ!」


あまりの痛みに悶え、涙目になる僕。のしかかったまま動かない真央さん。



ちょっと待て。これはない。これはないですよ真央さん。


怒ろうにも怒れず、起こそうにも起こせず、僕は唸りながら目を閉じた。



「あり得ない……」


はあ、とため息をつくと、彼女の柔らかな髪がさらりとなびいた。




「あー……、やばいな」


密着した体と、女の子特有の芳しい香りと、安らかな寝息。


真央さん。健全な男子高校生は、みんなオオカミなんですよ?


心で呟きながら、痛みで一旦収まりかけた熱が、再び蘇るのを感じていた。



ああ、生殺しなんてひどすぎる。






●だって、男の子だもん●


(ただいまー!…って真央!?)
(おかえり、なさい…)
(蓮くん!?きゃー顔真っ赤!大丈夫!?)
(小百合さん……助けて)




後日談 蓮の反撃→


< 27 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop