愛、シテあげる。番外編
「はあ~………」
海城蓮という男の子と一緒に暮らし始めて、はや1ヶ月。
………ファーストキスを奪われて、はや29日。
蓮のスキンシップに慣れてきてしまって、男性恐怖症だってことを忘れてしまう今日この頃。
クラスの男子だと未だに発狂しちゃうんだけどね。蓮は慣れたせいかわりと平気かもしれない。
………変なの。
計算がぐちゃぐちゃ書かれたノートの上に突っ伏した。
計算し過ぎて頭が痛い。ていうかなにより、甘いものが食べたい。
なぜこんなに勉強しているかというと
明日からテストだから………!
もーいや!逃げたいっ!
はっきり言って投げ出したいんだけど、私は逃げるわけにはいかないんだなこれが。
その理由は1週間前、蓮と賭けをしたから。
――――――――――――
『真央さん、賭けをしましょう』
1週間前、夕御飯を食べているとき、急に蓮が言い出した。
『賭け?』
『はい。もうすぐテストでしょう?僕と競いませんか』
『………遠慮しとく』
そんなの無理に決まってんじゃん。
だって蓮、2年生のくせに校内1偏差値高いって昌彦さんに聞いたもん!伝説を聞いたもん!
『だから嫌だ』
『それ、誤解です』
『え?』
『校内1じゃなくて全国1です』
『………模試で?』
『はい』
あれって1位とれるもんなの?そうなの?1位の人とは一生縁無いだろうな~あははとか思ってたけど間違いだったんですか?
………聞かなかったことにしよう。
『とにかく、蓮の頭の良さはよーくよく知ってるから、競うなんて無理無理』
そう言ったら、蓮は微笑した。