愛、シテあげる。番外編
「蓮……」


泣きそうな声で何度も名前を呼ぶけれど、一向に距離は変わらない。

たまらなくなって目をギュッと瞑ると、目尻に溜まった涙が一粒こぼれた。



「蓮……私、」


キュン死にするよ。



発しようとした言葉は、蓮の唇に掠め取られた。



「……蓮?」


「…………あのさ」



目の前には、吸い込まれそうな黒い瞳。


「その声、やめて」


そして、いつもより低い掠れた声。




「滅茶苦茶にしたくなる」


「っ!」


がぶ、と耳の下辺りを甘噛みされ、同時に生まれた2つの感情。

それは、食べられてしまうという恐怖と、
支配されてしまいたいという願望。


………やばい。



「ま、待って」


「待てない」


「…っ、…やめ、」


「無理」



さっきまでの可愛い仮面を脱ぎ捨て、完全にSスイッチの入った蓮もとい魔王様。


止められる手段なんて、ない。



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