愛、シテあげる。番外編
「うわあっ」
「――真央さん?」
久しぶりに間近で見た蓮の顔は、やっぱり少しやつれていて。
私の気配で気が散っちゃったのかもしれない、と反省する。
「…ごめん、うるさかったよね」
「…いえ、――それは?」
「……さ、差し入れ…と思ったんだけど、その……あ、コーヒー冷めちゃってるから、淹れ直してくるね」
「待って」
盆を持つ手をそっと包まれ、体が固まった。
――あ、危うく落とすところだった…。
「喉、渇いてますから、冷めてるくらいが丁度いいです」
穏やかな笑顔でそう言って、蓮は本当にマグカップの中身を飲み干した。
「…おいしい。これも頂いていいんですか?」
「あ、うん、どうぞ」
蓮はトリュフを一つ口に入れ、緩やかに微笑む。
「うん、おいしい……甘いものが食べたかったんですよ」
こんな些細な動作にも品があって、思わず見惚れてしまう。