愛、シテあげる。番外編

「……僕は、真央さんの優しいところが好きです」


「……」


「でも今、その優しさは…いりません」


「…え……」


「気を遣って頂いているのは分かってます、でも――何も求めてくださらないのは……拒まれているようで、悲しくなります」



……あれ…それって…?



「僕は、どんな真央さんでも、愛しています」


「え、」



…今さらだけど、サラッと恥ずかしいこと言わないで欲しい。


「僕の言葉は信じられませんか?」


「…蓮、」


「僕は頼りないですか?」


「そんなことないよ…」


力の回復してきた腕を、蓮の背中に回す。


そして前より細くなった腰に驚いて、急にひどく切なくなった。



「蓮が頑張ってるから……邪魔しちゃいけないと思っただけだよ…」


労るように背中を撫でると、蓮の体からやんわりと強ばりがとれていく。


「……あんまり無理しないで…もっと私に甘えていいから」


そう言うと、蓮は数秒間黙り込み、ゆっくりと体を離した。



< 56 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop