愛、シテあげる。番外編
蓮と2人で暮らし始めて数年。
私は未だに蓮のスキンシップに慣れないし、蓮も相変わらずの変態だけど、なんだかんだ仲良くやって来た。
――最近、ふと考えることがある。
蓮の洗濯物を干してるときや、一緒にご飯を食べてるとき。
そして今みたいに、パソコンに向かう蓮の横顔を眺めているとき。
ふと、考える。
「……どうかしましたか」
「え?」
「僕の顔に何か付いてますか」
「あ、いや、違うの。
最近、よく考えるんだ」
「何を」
「蓮はどうして私を選んでくれたのかなって」
すると、蓮はあからさまに顔をしかめた。
「あー、違う違うっ。自分を卑下してるわけじゃなくて……あの、純粋に、嬉しいって言うか……。
ちょっと変態だけど……こんなに綺麗で、優しくて、頼もしい人の側にいられて、私は幸せ者だなって、つくづく思うんだー…なんて、あはは」
段々恥ずかしくなってきて、最後は笑って誤魔化した。
…でも、たまには素直になりたい。
こんなに幸せだってこと、ちゃんと2人で噛み締めたい。
私の思いが伝わったのか、蓮は大きく目を見開いて、私の顔を覗き込んだ。
漆黒の瞳に自分の顔が映り込んでいるのが見える。
「……真央さん」
「な、なに?」
「今日は雪でも降るんですか」
「……は?」
何を言い出すんだこの人は。
「もしくは体調が……あっ、お酒飲みましたか」
「え、いや、特に何も」
「じゃあこれはドッキリですか。どこにカメラが隠されてるんですか」
「…あの、蓮くん?キョロキョロしたって何も見つからないよ?」
「甘い言葉を真に受けて有頂天になる僕を、モニター越しに見て高笑いしてる心理学者がいるんでしょう?」
「え?なに?どこからつっこめばいいの?」
「生放送で、こいつバカだ、ちんちくりんだって、散々言われるんですよ。何も知らない赤の他人に!」
「えっと蓮くん、ちんちくりんとは言われないと思うよ」
「ですが僕は、妻をないがしろにするより何万倍もマシだと思います!」
「うん、まあそうだね、あの、」
「夫が妻を大事にして何が悪いんですかっ!」
「……蓮くん」
一体、君の身に何があったの。
●取り扱い注意●
(もっと素直になろうと誓った)