愛、シテあげる。番外編
「可愛いですよ、物凄く」



「そりゃどうも」



「あなたをお持ち帰りしたいです」



「手提げに入りませんから無理です」



「手提げなんていりません。ありのままのあなたをお願いします」



「もう予約済みなんで無理です」



「はい?真央さんを狙う奴がいるんですか?身の程知らずな奴ですね誰ですか?潰しに行くんで名前を教えてください」



「次の方どうぞー」



「おや、いけませんよ。まだ僕というお客様が注文中じゃないですか」



「さっきからひとっつもメニューにある単語が出てこないんですけど」



「じゃあスマイルください」



「帰ってください」







埒があかない会話に、頭痛がしてくる。




魔王は私の仕事を妨害しに来ただけかよ。

はあぁ。仕事増やさないでよね………。



ため息をつくと、空腹感を感じてまたため息。


う~、お腹すいた……。


レジの画面に表示された時間を確認する。
休憩は14時からだから、あと2分12秒。





休憩になるまでに、魔王を追っ払らなければ。



あたしは作り笑顔を貼り付けたまま、なんとか帰らせようと口を開いた。



「では、オススメのこのバーガーはいかがですか?」



「あなたを食べたいです」



「話聞けよ」



「冗談ですよ。じゃあ………」



魔王はようやくまともな注文を始めた。


ふぅ、と息を吐く。





休憩まであと1分36秒。




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