愛、シテあげる。番外編
僕は驚きと呆れが混ざった目で彼女を見つめる。


「なんですか」


「あ、えっと、その」


「用がないなら、はなしかけないでください」


冷めた気持ちでいたけれど、顔には笑みを貼り付けた。これは、昌彦さんの真似。爽やかな笑顔でライバル会社を圧倒していたところを目撃し、以来憧れているのだ。
僕も、あんな風にオーラのある人になりたい、と。


……まあこれは余談でしたね。



冷めた言葉に、吉岡真央は目を丸くした。
大抵の女の子は、僕のこの笑顔に泣き出すかもしくは怖がる。だからこの子も僕の性格を怖れて、もう近付かなくなるだろう。そう思っての行動だったんだけど。



「うわあ、ママそっくり」



……彼女には全く効かなかった。


「は?」


「ママもね、しごとしてるときそんなふうにわらうの。えがおでこわいこと言うんだよ。れんくんもおなじだね」


「はぁ」


「うん、やっぱり蓮くんはなんかちがうや。わたしとにてる気がする!だから、さっきはごめんなさい!」


「……はぁ」


話が読めない。


僕は目の前で勢いよく頭を下げる女の子を、ただただ見つめた。


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