愛、シテあげる。番外編
次の日、真央さんはいなくなっていた。
いつものように朝早く来た僕は、勝負に勝ったことを知らせようと意気込んでいた。
だけど
「仲山せんせい、真央さんはおやすみですか?」
「ううん。真央ちゃんは遠くの保育園に通うことになったの」
「え?」
「寂しいけれど、もうこの保育園には来ないのよ」
「どこ、に?」
先生が教えてくれた場所は、聞いたこともない地名で。
頭を、何かで殴られたような衝撃が走った。
信じられなかった。でもなんとなく合点はいった。
昨日の不可解な行動は、これだったんだと。
でも、信じたくない。
「あ、蓮くん!?」
僕は走った。
誰もいないところに行きたかった。
無意識に辿り着いたのは、いつもの木の上で。
いつもと変わらない緑の中で、僕は泣いた。
いつもと変わらないこの場所も、いつもと違って。
あの子がいない。
「まお、さ……っ」
あのとき気づいていれば。
あのとき話を聞いていれば。
少しでも、君との繋がりを残せたのかな。
真央さんの泣きそうな笑顔に、震える手に、なんで気付かなかったんだろう。
僕は、馬鹿だ。
後悔しても遅くて、胸が焼けつくような悔いを感じても遅くて。
でもやりきれなくて、とにかく泣いた。こんなに泣いたのは初めてだった。
そして、痛いほど分かってしまった。
真央さんが、世界で一番大切な存在になっていたことを。
いつものように朝早く来た僕は、勝負に勝ったことを知らせようと意気込んでいた。
だけど
「仲山せんせい、真央さんはおやすみですか?」
「ううん。真央ちゃんは遠くの保育園に通うことになったの」
「え?」
「寂しいけれど、もうこの保育園には来ないのよ」
「どこ、に?」
先生が教えてくれた場所は、聞いたこともない地名で。
頭を、何かで殴られたような衝撃が走った。
信じられなかった。でもなんとなく合点はいった。
昨日の不可解な行動は、これだったんだと。
でも、信じたくない。
「あ、蓮くん!?」
僕は走った。
誰もいないところに行きたかった。
無意識に辿り着いたのは、いつもの木の上で。
いつもと変わらない緑の中で、僕は泣いた。
いつもと変わらないこの場所も、いつもと違って。
あの子がいない。
「まお、さ……っ」
あのとき気づいていれば。
あのとき話を聞いていれば。
少しでも、君との繋がりを残せたのかな。
真央さんの泣きそうな笑顔に、震える手に、なんで気付かなかったんだろう。
僕は、馬鹿だ。
後悔しても遅くて、胸が焼けつくような悔いを感じても遅くて。
でもやりきれなくて、とにかく泣いた。こんなに泣いたのは初めてだった。
そして、痛いほど分かってしまった。
真央さんが、世界で一番大切な存在になっていたことを。