愛、シテあげる。番外編
それからの僕は今まで以上に感情を出さなくなった。


真央さんのいない景色が、
真央さんのいない世界が、

つまらなくて、哀しくて、何も感じることができなかった。


それと相反するように、真央さんへの想いはどんどん膨れ上がって、溢れだしていく。
それなのに彼女はどこにもいなくて、僕の中の乾きは潤うことがなかった。


どんなに勉強を頑張っても

どんなに部活に打ち込んでも


いつも何かが足りなくて、満たされない。

真央さんが、欲しい。

真央さんに会いたい。


僕は、さらに貪欲に彼女を求めた。


そして、探し続けること十数年間……。








―――――――――




裏門に逃げた彼女を追いかける。
僕を出し抜こうなんて百年早いですよ。


内心ほくそ笑みながら、真央さんに声を掛けた。


『どうも』

『蓮君っ!?Σ』

『逃げられたので追いかけてきました』

『な、ッ…!?』

口をパクパクさせる真央さんに近づく。

『こここここ来ないでっ!;』
『はい』

『いや止まってないし!』



ビクビクして目を瞑る真央さんに、今までの想いが溢れだす。

キスをしたら、僕のことを思い出してくれるだろうかと考えたりもしたけれど。


たぶん、九割方、衝動。




チュッ


その柔らかな感触は、昔と変わらなくて。


胸が詰まって、涙が出そうになる。



『Σッ!!??』



やっと、見つけた。



『御馳走様でした(ニッコリ』






●愛のはじまり●


(もう、逃がさない)



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