愛、シテあげる。番外編
空はまだ水色で、太陽が傾き始めたころだった。


そういえばランチにも行っていない。

時間の感覚が無い自分に、悲しくなる。





通り過ぎる人は皆忙しなくて、すぐ横を通った人の顔も覚えられないくらい、速いスピードでどこかへ向かう。


だけど、生き生きして見える。


「何しているんだ、私は……」


社長という地位に上り詰めても、周りが羨むようなことは何も得られていない。


白く染まった息が、何度となく漏れた。






「…………さて、戻るか」


外に出たのはほんの5分前だったが、これ以上ここにいても何の意味もないだろう。


かえって重くなった気持ちを背負い、会社へと足を向けた。




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