愛、シテあげる。番外編
「あーもー!!!信じられないっ!!」
カツカツカツカツ!
突如響いた高い声。ヒールが地面を打つ音からは、怒りが感じられる。
私は踏み出した足を止め、声のした方へ目を向けた。
そこには黒いコートに赤いヒールという出で立ちの女性が、肩を怒らせてドシドシ歩いていた。
何か叫びながら、どんどん私の方へ近付いてくる。
私がびっくりして固まっていると、彼女はキッと私を睨んだ。
「なんなのよあの会社は!!真央は私の大事な大事な娘よ!?いい加減にしやがれってのよ!!ねぇ!?そう思わない!?」
「えっ、わ、私ですか?」
「他に誰がいるっていうのよ!!」
「は、はあ。あの、落ち着いてください」
「全くふざけんじゃないわよ!!」
「そうですね、さあとりあえず中へ」
ぷんぷん怒る彼女をなだめ、なんとか会社の中に入ってもらった。
さすがにあのままでは目立つからね……。