愛、シテあげる。番外編




彼女の話をまとめると、こういうことだった。




彼女は20代にしてある企業の重役の秘書だったが、その若さ故に、妬みやセクハラがひどかったようだ。


あまりにも酷い扱いだったが、会社は何の対応もせず、ほったらかしだった。


女手一つなんだから私が稼がないと、となんとか耐え、上司に忠実に何年も仕事を続けていたが、

ある時ついに我慢の限界が来た。


彼女の愛娘である真央ちゃんが、無理矢理婚約させられそうになったのだ。


『息子と結婚すれば、お前を社長秘書にしてやる。どうせ誰の子供かなんて分からないんだろ?』


彼女はそれに激昂し、その場で会社を辞めたそうだ。






「もう我慢できなくって!机に踵落としして、辞表叩きつけてきました!」


「は、はぁ………それが、ついさっきのことなんですね?」


「ええ!……あ、ご、ごめんなさい……無関係なのに、怒鳴り付けてしまって、申し訳ありませんでした」


「いえ、気にしないでください」


机に踵落としって……
華奢な外見からは想像できないな………。





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