ななちゃん
「相手に心というものを見出だそうとするのは、人間の進化の結果らしいですよ」彼女はくすり。と笑った。

「ははは、まあ。確かに、動物であれ他人であれ、自分に心があるから、
他人にも心があり、話しが通じるだろうと、認識してしまうのは、人間が進化したからだろう」


「動物になりたいと願うほど、辛い状況に置かれれば、人間は動物になってしまうのでしょうか」
「ふむ、動物ね」
「動物であったなら、人間特有の煩わしさ、自分が感じている辛さを、なくしてしまえるかもしれませんもの」
「確かに、動物は我々からみて、幸せに見える」
「人形になりたいと願うことや、機械になりたいと願うこと、完璧になりたいと願うことと同等に、動物になりたいと強く願うかもしれませんわ」
機械のような間違えない人間。
人形のような美しい人形、完璧な人間。

一度は誰もが願うだろう。
何かのようになりたいと。
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