月luna~眠れる王子と最後のキスを・・・~

 病院の廊下を走ってると、後ろからも聞こえる走る足音を聞いて、足を止めた。


 だけど期待をこめて振り向くと、そこには晃さんではなく美香がいた・・・。

 息を切らして走ってきた美香を見てると、私は美香を病室の前で待たせていた事を思い出した。


『何があったの?』

 美香は心配して聞いてくれてるのに、私は何も答えない。


 イライラする・・・。

 美香は何も悪くないのに、私を追ってきたのが美香だという事がむかつく。

 私に病院に行こうと言った美香にむかつく。


 美香は悪くないと分かっていながらも、気持ちが抑えられない。

 美香にあたりそうなのを、必死に抑えようとしていた。


 だけどその日、美香に返事をすることは出来なかった・・・。



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