月luna~眠れる王子と最後のキスを・・・~
屋上の空は曇ってた。
そのせいで空気は余計にじめっとしていて暑かった。
『もう会えない』
暑い中、階段を上った晃さんは少し息が乱れてた。
それでも聞き間違える事が出来なかった。
晃さんは、はっきりその短い言葉だけいって、黙った・・・。
分かってたのに、それでもその言葉を聞いて崩れ落ちそうになった。
だけど、今はダメ。
まだダメ。
と、心の中で唱え続けた。
「わかりました」
「・・・もう少しここに居たいので、もう帰っていいですよ」
私は必死に涙をこらえ、出来るだけ明るく言った。
『・・・』
晃さんは静かにドアへ向かって、ドアを閉めた。
ガチャッ
「うぅ゛・・ぅ゛・・・・あぁ゛・・・あ゛ぁ゛ぁぁ」
どうせ無理なら「好き」だなんていって欲しくなかった・・・。
さっきまであんなにも大切だった晃さんからの「好き」って言葉が今は残酷な物に思えてくる・・・。