先生と生徒
「マキ?」
気持ちの葛藤に決着などつくはずもなく、ただただ今の自分を考えるだけだった。
「ん?どうかした?」
「や、どうかしたってかマキがどうかしたのかと思って…大丈夫?気分、悪くない?」
「ん、大丈夫だよ?」
「……。何か冷たいもん買ってくるわ」
そう言ってこの場を離れようとする和也に、なぜか翔くんがついていった。
「いいんですか?和也に任せても…」
「稲原には弟もいるし、大丈夫だと思う。
それよか、酒井。あっちのベンチに座ろう」
そう言うのが早く、ベンチに座らされた。
「気分悪いんだったら早く言えよな?」
先生が隣にいる。
「…酒井?」
…それだけなのに高鳴る胸。
認めたくない気持ち。
信じたくない…この想い。