先生と生徒


二人して、お父さんのほうを見る。


「あ、すいませんっ」


と、和也からパッと離れる。


「いや、こちらこそ…

朝は急いでてね…」


少し恥ずかしそうにしながらも、お父さんは、私が用意したご飯の前に座り、嬉しそうに"いただきます"と言い、食べてくれた。



和也は少し邪魔されたことに膨れていたが、お父さんと一緒にご飯を食べ始めた。


「あ、啓太、起こしてくるねっ!」


と、和也に言って、その場を出た。


二人の笑顔を見ながら。


お父さんも食べてくれて、良かったなっ



「啓太ー?起きなっ」


と、啓太の部屋を開けて、まだ寝息の聞こえるベッドに近づく。



「啓太?起きよう?」


と、啓太のほっぺをツンツンとつついた。


「…んっ」


「起きた?」


寝ぼけながらこちらを見て、一言。


「お母さん…?」

< 207 / 303 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop