先生と生徒


「でも、血は繋がってるし…俺と姉ちゃんの関係は何も変わらないじゃん」



「でも…」



「俺、しばらく母親と離れて育ってたんだ」


「………」


「5歳くらいの時からかな…一緒に住みだしたのって…

何でか分かんなかったけど、そん時は嬉しかった。一緒に暮らせるーって。

けど、そんな甘くなくって…」


「何が?」


「…教育。

それまでは放任のお祖母ちゃんに育てられてたんだけどさ、一緒に住み始めて、毎日勉強させられて、毎日習い事。本気で逃げ出したくなった…」


「信也…」



「でもさ、その度に親父は姉ちゃんの話をした」


「私…?」



「そう。お姉ちゃんは違う所行って頑張ってるんだぞ!って」


「…何それ」


「今思えばそうなんだけど、ちっさい時はまだ見ぬ姉ちゃんに会いたくて仕方なかった。

"お前が頑張ればお姉ちゃんも喜んでるぞ"って言葉もよく聞かされたし」


「すごいこじつけ…」
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