先生と生徒
「…可愛い」
啓太の寝顔をソッと撫で、呟く。
「現金なヤツで悪いなー」
紅茶を持った和也が隣へ来る。
「ううん?可愛いじゃん♪」
「そう?」
あれから2時間くらい、啓太に付き合って遊んでいたらいつの間にか啓太は寝ていた。
「俺の家さ、母親、いないんだ、」
「え?」
また、衝撃の事実。
「俺の事故のすぐくらいにさ、体壊して…っで、入院してるうちに病気が分かって…って言う典型的パターン」
「典型的って…」
「もう、それくらいの気持ちだから、って意味」
飲み終わった紅茶のカップをキッチンへ持っていく和也の背中は少し寂しげだった。
…強がっちゃって。
今、すごく抱きつきたくて、和也が愛おしかった。
本当はきっと悲しくて仕方ないんだ。
自分の高校進学の夢も、お母さんも。
同時に失ったようなものだから…