先生と生徒
「だから啓太のヤツ、マキのこと見てお母さんと重ねて見てんだろ」
啓太を優しく見つめる和也はいつもとは違う、お兄さんになっていた。
「可愛いね…啓太。」
「そう言ってもらえて啓太も喜ぶよ。
でも、彼氏としては他の男を褒めるのはなー?」
「弟にヤキモチ妬くなんて和也、バカじゃない?」
少し冷めてしまった紅茶を飲み干す。
「俺はバカだから。
それにどうしていいか分かんないし…」
「?和也…」
「けど、今はマキを離したくない。」
そう言うと和也は私を抱き寄せた。
温かな和也から伝わる定期的なドキドキという心音。
それがリズム良くて、気持ちいい。
「…マキ、」
目線が絡み合う。
どことなく気持ちの良い空気が私たちを包む。
キス、の予感は運悪く消えていった。
「か、和也!!」