先生と生徒


「もし、先生が来たときに勝手に帰ってたらプリント3倍な?」


悪魔の微笑みで先生は教室を出た。


プリント、3倍って…

30枚ー!?

嫌嫌っ!!
なら、この目の前の8枚のプリントをやったほうが賢いっ

先生に先読みされた私に"帰る"という選択肢は消え、5分経って大人しく席に着くことにした。

「分からなくてもとりあえず埋めとけばいいよね…」


白紙のプリントを眺め、これがさっきみたく埋まるように頑張ることおよそ30分。

さっきのペースで30分1枚。
なのに目の前には今だ白紙のプリント。

余白スペースには必死で考えた痕跡がある。けれど答えにたどり着くことはなく、ただただ目の前の英単語と睨み合うだけだった。


「先生ーっ早く帰ってきてっ!!」

このままじゃ何も進めないと思い、教室で叫ぶ私。



「お?ちゃんとやってるか?」


叫んで1分後、先生は教室に戻ってきた。


「センセーっ!!」


「何だ何だ!?」


大袈裟に叫び、先生に近づく。


「分かりません…」


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