先生と生徒
「酒井、こっち」
校門前に来て数秒。
目の前には黒い車。
と言うか暗闇で真っ黒に見えるだけ?
「早く乗れ?」
運転席から顔出す先生に"はーい"と返事をして助手席に座った。
「酒井の家って、こっちだよな」
カーナビを手際よくいれて、私の家へと進みだす。
「そうです…って何で知ってるんですか?」
「んー?ま、先生にも色々あるからな。」
返事を濁して、カーナビの"次の信号を左に"と言う機械的な声が車内に響いた。
「先生、何でこっちの学校に来たんですか?」
「転任?だからかな?」
「案外、普通ですね」
「まぁね、」
「あ、そう言えばあの時なんで、学校来てたんですか?」
「あの時?」