先生と生徒
(要らない…?"要らない"?マキは要らない子なの?)
「あなた!何て言葉を…!?」
「…中西さんがそう言ったんだ!!」
「中西さんが?!」
「…次の子は男の子だそうで、もうマキは用なしだって。要らないって…
そう、確かに言ってた…」
「何て酷いことを……?!」
「…もう、マキちゃんは私たち酒井の子どもだ。
それでいいじゃないか?」
「そうですけれど…
マキちゃんにはこの事知らさないほうがいいわね…」
「そうだな…」
私はいつの間にか自分の部屋に戻って、声を殺して泣いた。
大好きなお母さん、お父さん。
もう私は要らない子なんだね。
幼い私の心を壊すには十分すぎる内容だった。
それから私は酒井の子としてやってきた。
でもそれは上辺だけ。
…酒井家の人は皆優しかった。
でも、私はどうしても酒井の輪には入れなくて。
いつか"要らない子"になってしまうんじゃないのかって、いつからか思い始めてた。
そしていつからか自分の意思を言わなくなっていた。
と言うか言えなくなっていた。
「…誰にも言えなかった。こんな風に。
怖かったの。…この事を言って軽蔑されるんじゃないかとか離れてくんじゃないか、って」
大体、話終えた時、私の頬に一筋の涙が流れた。