先生と生徒
「失礼しました…」
あんのハゲっ!
呼び出したことも忘れてたくせに!
1時間も人使わせやがってーっ!!
1時間。地獄みたいにあのハゲに使われた。
授業で使うプリントのコピー、クラス別に分ける作業…
それから…
『酒井、肩揉んで?』
誰がやるかー!!!
そう思った瞬間、内藤先生が待っていることを思い出した。
『あ、教室でやることが残ってますので、』
かなり引きつった笑顔でハゲに微笑みかけた。
『それなら、もういいよ。
ご苦労様、また頼むよ』
と、言うわけである。
誰が使われてやるかっ!
そう思いながら教室へと急ぐ。
1時間も先生待たせちゃった…!
「先生…?!」
教室に入って、目に入った先生の姿。
外からは野球部の声。
同じ階からは吹奏楽の演奏。
同じ時間を過ごしているはすなのに。
この教室だけ、時間が止まったようだった―…