先生と生徒
「あ、マキ…?結構遅かったな?」
家に入ってすぐ、和也が言った。
「思ったより電車が来なくてさ?
それに、帰る前に入江先生に捕まった」
「あ、入江に?
結構いい先生だろ?」
あ、そっか…
和也は担任なんだっけ?
「うーん…思ったよりは、ね?」
人使い荒かったけど、最後はちゃんと励ましてくれたし…意味不明だったけど。
「なんだその曖昧な感じ」
「まだ、あの先生のことそんな知らないから」
「そりゃしゃあないな?」
こんなことを話しながらいつものように和也の部屋。
「いつになったら放課後学習終わりそう?」
放課後、学習…
その言葉を聞いて、和也のことでいっぱいだった頭の中に"先生"の笑顔が出てきた。
「?マキ?」
「あ、ううん!何でもない…
あ、あれね?何か私が出来るまでだって?」
「そっか、んなら頑張れよ?
俺だって一緒に帰りたいんだからー」
甘えたような和也を見ても、頭を支配しているのは…"先生"
「そう、だね…」
今は、笑顔が出ない…かも―…