BEST―FRIEND
『おはよ…こんな雨の中、よく出かけようと思ったね~』
ちょっと上から目線で話かけてみた。

そんな事にはお構いなしに

『こんな雨の中、ほいほいときちゃうお前もすごいよね…』と返された。

『も~う、何その言い方???優は食べ物に誘われたゴキブリみたいじゃん!』

『(笑)そんなつもりで言ってないのに、ほんと、お前考え過ぎだよ…』


『……笑えないし』

『優はすぐにすねるんだから…。ゴメンゴメン。俺の為に来てくれてありがと…』

『えっ…別にそこまで怒ってるわけでもないから謝らなくてもいいのに』


いつも謝るのは自分だったから俊樹に謝られてお礼まで言われるとなんか調子が狂う。



車を止め映画館に着くと俊樹がチケットを買いに行った。

俊樹と映画に来るのは、久しぶりでなんかワクワクした。

照明が少し落とされ映画の予告が始まった。

私は予告があまり好きではない…見たくないのも勝手に流されるからだ。

今回もそうだった。
大きな音量で怖そうな音が流れてきた。《ほら、来たぁ~》ホラー映画の予告編だ。
《別に、ほら。とホラーをかけた親父ギャグを言ったつもりはない…しかもそんな余裕もなかったけど。》 

慌てて耳を塞ぎ俊樹の肩に目を背けた…
『優、大丈夫か??ほんと怖いのが苦手なんだな…』
と耳元で囁くと、右手で優の頭に軽く手を回してくれた。
こういう優しさが、私は好きだった。

『ありがと』
予告が終わると、館内は真っ暗になった。





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