ストロベリーチーズケーキアイス・kiss~甘酸っぱい恋の味~
女の子が他の子と話し始めてあたしの側から離れた頃「おはよう」と男の子と話しながら教室に入ってくる聡くんの姿が見えた。


ただ、姿が見えただけなのに、トクンと高鳴る鼓動。



これって、自分で思ってる以上に聡くんを意識してる証なのかな?


気づかないうちに、聡くんの姿を視線で追う。


不意に聡くんと視線が重なって、ドキンとなった。


一瞬、脳裏によぎったのは、聡くんとのキスした時の唇の感触。


恥ずかしくなって、思わず聡くんから視線をそらして下を向いた。


けど、変に思われてないか気になって、顔を上げてもう一度聡くんを視線で探すと、さっきいた場所にはいなかった。


どこに行ったかキョロキョロ探すと


「恵里佳」


聡くんが、すぐ目の前に立っていて。あたしの心臓は飛びだしてしまうほど驚いた。


「な、なに?」

なるべく平静を装う。心臓はまだドキドキしたまま。


「きょう、一緒に帰ろう」


「う、うん」


じゃあ、後でなと男の子達の輪に加わった聡くん。

近くであたし達の様子を見ていた由希が、よかったねとあたしの肩を小突いた。うん。と、返事したあたしは、自分でも分かるように顔が赤くなっていた。

早く放課後にならないかなと、気持ちばかりが浮き上がって、この日の授業は何ひとつ、頭に入ってこなかった。


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